三十路たぬきの日々是好日

大学で働く三十路の多趣味男が、仕事や事実上事実婚状態の事実に苦悩しながらも前に進もうとする日々を素直に綴っていきます。教育、仕事、マインドフルネス、事実婚、趣味のお話などなど

教師の夢と現実の狭間…教師になった卒業生の辛い経験

今日は職場の大学で同窓会の式典があり、1日運営補助としてお仕事。

 

大学で働いていることの醍醐味の一つが、在学当時、いろいろと相談を受けたりしていた学生が、社会に出て活躍している様子を報告してくれることだ。

 

大学といってもたくさんの部署があり、仕事も多岐にわたるため、全く学生達と関わらない職員もたくさんいるが、私は、大学に入職して最初に配属されたのがいわゆる学生課だったので、一番がっつりと学生に向き合う部署だった。

今日は同窓会のため、送り出した学生達も何人か元気な顔を見せてくれて、各方面で活躍している様子を報告してくれた。ただ、気にかかったのは入職1年目の年に送り出し、卒業してから実に7年ぶりに顔を見せてくれた女の子。

 

彼女は子どもが大好きで、教師を目指して文字通り希望と夢で胸をいっぱいにしていた学生だった。教員免許状は取得したものの正規採用が叶わないまま卒業していった彼女だが、7年ぶりにみる彼女は、私の記憶の中にあったキラキラした笑顔を絶やさない彼女ではなくなっていた。すっかり痩せてしまった顔と体がその壮絶な7年間をあらわしていた。

現在は教員として教壇にたっている彼女の話を聞いていて、教員という仕事の夢と現実を目の当たりにした気がした。

 

「あんなに憧れていた教師なのに…いまは辛いことの方が多すぎて、自分に自信がもてません」

 

彼女(Aさん)は、教員免許状を取得したものの、卒業後2年間は正規採用が叶わなかった。2年間、他校種の免許状を取得を目指して勉強を続け、ようやく小学校の臨時採用として教壇に立つことができた。

しかし、まもなく同僚の担任のうち1人が産休に入ることがわかると、現場経験が浅いにも関わらず「はやく仕事を覚えて」と、業務を詰め込まれ、専任教員が主担当とするような学校行事の計画も任された。

 

学級も今はかなり多様な子どもたちが集まる。やんちゃな子や、発達に課題を抱える子もクラスには必ずでてくる。そんな子ども達の対応に追われる一方で、教育指導案にのっとって授業も進めなければならない。

子ども達が取っ組み合いのけんかでも始めようものなら、監督不行き届きと保護者や上司からも叱責され、クラスの授業も予定が狂ってしまう。臨時採用という立場もあり、上司に助けを求めるにも強く出ることができない。

 

職場の人間関係も大きな負担だった。未だに上司にお茶くみを強いられ、対応に少しでも粗相があると職員室にいる全員にお茶を出すように命じられた。授業が終わったあとも事務仕事に学校行事の準備、指導案の作成と仕事は山のようにある。毎日23時まで学校に残り働いた。

多忙な毎日。問題児達の対応に保護者への連絡、予定どおりに授業を進めなければならないというプレッシャーに加え、さらに臨時採用という助けを求めにくい状況が彼女を追いこみ、わずか半年でメンタルヘルスを崩し、職場を離れることになってしまった。

 

教師という職業への負のバイアスが増していることは世間一般的にもなんとなく感じ取れる方も多いだろう。

多様化する保護者と子ども、そして社会からの要求は年々増していく。2020年からは小学校の学習指導要領が再び改訂され、英語教育やプログラミング教育、発達支援(障害に応じた指導やLD、不登校等)への対応もしていかなければならない。

親は家庭教育すら学校に放棄し、我が子の不始末を教師に押し付ける。

守ってくれるべき同僚のベテラン達は自らの教育論を新人教師に振りかざし、意にそぐわなければ潰しにかかる。

もちろん、すべての教育現場がそうではないだろう。しかし、果たしてそれらの要求に十二分に応えることのできる教師がどれだけいるだろうか。

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今年の夏から別の学校に赴任し、教壇に立っているAさんだが残念ながらあまり新しい環境も良好とはいえないようだ。

 

これ以上ないくらい頑張って、心も体もすり減らしたAさんに私は「がんばれ」とも「きっといつか報われるから」とも、とても言えなかった。

そんな上っ面な無責任な言葉では誰も救われやしないことは身をもって知っている。

ただ、話を聞いてあげることしかできなかった。

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「子ども達といっしょにいるときは楽しいって思えるんです...でも大人達との関係ですごく心をすり減らしてしまうんです」と寂しそうに笑ったAさんの笑顔が気がかりでならない。