新時代という名のお祭り
新元号、令和が発表されてから1週間が経った。平成も残すところあと3週間である。
テレビをつければ何処かの局が毎日のように平成を振り返る番組をやっていて、お店に行けば令和と書かれたお菓子だのTシャツだの茶碗だの令和グッズで溢れている。
まるでお祭りのようである。
そもそも改元なんて滅多にあるものではない。それに今回は昭和から平成になる時のように天皇陛下の崩御の上に行われるものではないから、前もって新時代の到来を歓迎して騒ぐことができるのは大きなポイントだろう。
なんとなくミレニアムイヤーの時と同じ熱をかんじる。
週末、お花見をしに、ある公園に行ったらいくつかの露店が出ていて、なんと露店のオッさんが「令和」と書いた薄い木の輪切りの板までが500円で売られていた。
冗談かと思ってみていたら品の良さそうなおばはんが2枚買っていった。売る方も売る方もだが、買う方も買う方だ。加速する元号商法。そごう・西武は改元してから1週間(5/1〜5/6)、令和の焼印が入ったどら焼きを無料で配るらしい。
昭和から平成に改元された時、私はまだ3歳だったから世の中がどう賑わっていたのかさっぱりわからないけど、やっぱり平成にフューチャーした商売は盛んに行われたんだろう。
しかし、30年経った現在、商売するのは小売店やメーカーだけではない。メルカリやminneといったフリマアプリの登場で個人単位で元号商法が展開されている。
試しにminneで「令和」とキーワード検索してみたらびっくりするくらい「令和」に乗っかったハンドメイド作品がズラーっと表示された。
ハンドメイド作家さんも商機をみたり、ということなのだろう。どれもこれも素晴らしいクオリティの作品ばかりだか、令和と書かれたピアスを身につけたいと考えるのはどんな人達なんだろうとちょっと気になった。
きっと令和グッズを買い求める人達というのは、買ったものを実際に身につけようとか使おうとかはあまり考えてないのではないだろうか。
令和グッズのほとんどは「無くても困らないもの」のように思う。それでも多くの人が買い求めるのは新時代の到来という、滅多に経験できない歴史的イベントを形があるものとして手元に残しておきたいという気持ちがあるのではないだろうか。10年、20年経った時に改元当時に思いを馳せるキーアイテムとしての役割も持たせることもできるだろう。
また、令和グッズを購入するという消費行動自体が新時代の到来という「お祭り」に参加するもっとも手っ取り早い方法であるともいえる。
こんな事を書いていると「サメてんなぁ」なんて思われるかもしれないけれど、こっそり職場で新元号発表の会見をネット中継で見ていたし、ボールペン、万年筆、筆でそれぞれ「令和」と試し書きもした。万葉集はまだ買っていない。
なんならこの記事を書くことだって、楽しみかたの1つだ。
色んなひとが色んな方法で新時代の到来というお祭りを楽しんでいる。
どんな時代に育っていくかはこれからのお楽しみとして、幕開けくらいはハッピーに迎えたい。
そして、平成最後の桜は時代を名残惜しむように長く綺麗に咲いてくれたように感じる。