スピリチュアル・ダンディから考えるプロデュースと精神世界との付き合い方
名古屋でのお仕事が無事に終わり、新幹線で一息つきながらエントリーしています。
今日はなかなかお目にかかれない現場にも遭遇することができました。今日はそれを目にして感じたおはなし。
今日のお仕事は名古屋市内の貸し会議室で説明だったのですが、同じフロアで廊下を挟んだ向かい側では、とあるスピリチュアルな力がある方のヒーリングセミナーが行われているようでした。
午前中が個別相談で午後が大人数を集めてのセミナーだったようで午前中から多くの女性が入れ替わり立ち替わり出入りしていました。みなさん身なりが綺麗で比較的良い暮らしをされている方が多いように見受けられました。
一体どんな人が主催者なんだろうと思っていたら、カジュアルだけど高そうなスーツに身を包んだ50歳ぐらいのダンディが現れ、廊下で待っていたマダムに「お待たせしました」声をかけて部屋に招き入れました。
ははぁ、さてはあのダンディが主催者か。
スピリチュアルなことにちょっと興味があり、そっち系の本も何冊か読んで楽しんだこともある私は、そのセミナーで行われていることに興味が湧いてきました。幸い主催者の名前は貸し会議室のイベント一覧に表示されているし、それを見て調べてみてもなんら支障あるまい。
どんなことをやっているのか休憩時間にネットで主催者のことを調べてみました。
主催者の名前はスグにヒットして公式サイトもスグに見つかりました。
やっぱりさっき見かけたカジュアル・ダンディが主催者で間違いなさそうです。
ビシッと決めて優しく微笑むダンディの写真がトップページに表示されました。
サイトには「宇宙エネルギー」「龍神のパワー」「アセンション」「降神」「エネルギーの浄化」といった、いかにもそれらしい単語が踊ります。
たまげたのはまさに目の前で行われているセミナーの参加費。なんと5万円!
これが高いのか安いのかは当事者の感覚なのでわかりませんが率直に思ったのは「スピリチュアル儲かるな!」でした笑
参加者がどれだけいるのかはわかりませんが、会場になっている会議室はスクール形式で100名は収容できる大きな部屋でした。
広々使って50人の参加だとしても1日で250万円!収容マックスだとしたら500万円です!
仮に当日のテキストとして自分の著書を参加者に購入させていたとしたらその分もまるっと毎度あり!
会議室の利用料なんて大したものじゃないし、ほとんどが儲けなんじゃ…と、金が唸るように入ってくるように思えてなりませんでした。
どうやら主催者のダンディはスピリチュアルだけでなく、その手法を活用した経営のコンサルも手掛けているそうで、プロフィールのページにはまばゆいばかりの輝かしいキャリアが紹介されておりました。
これをみて「なるほど」と思ってしまいましたね。
正直、このダンディが本当に不思議な力もっているのかどうか全くわかりません。
超自然的な癒しの力や宇宙のパワーをもってるかもしれないしハッタリなのかもしれない。
でも、たとえハッタリだったとしても、広い会議室を貸し切ってイベントを打てるということは、このスピリチュアル・ダンディに「救われた」「もっと教わりたい」と感じている人が一定数以上いるというのは紛れも無い事実なわけです。
私が思ったのは、このスピリチュアル・ダンディは「セルフ・プロデュース」能力に長けており自分のファンを作ることがとっても上手な人なのではないかということです。
自分がどう見られているのか、そして「癒やしのカリスマ」として見られるためには何が必要なのか、それを客観的に分析して実践する。
それは服装であったり、立ち振る舞いや、言葉遣い、経歴や、自分を取り囲む仲間だったりとその人の印象にかかわる全ての要素にも及ぶでしょう。
そして、「癒やしのカリスマ」を求めるのはどういった人達なのかを見極めて、ターゲットとなる人達に刺さる人物になる必要があります。
スピリチュアル・ダンディは一見ワイルドな雰囲気ですが、男の色気があってオシャレで優しい笑顔が印象的といっていい外見です。
人知れずかかえていた悩み事をイケメン・ダンディに吐き出して、否定することなく聴いてもらう事が出来て、ニッコリ笑ってもらえれば多くの場合、それだけでスッキリした気持ちになる。妙齢の女性にとって、いつの時代でも、どこの世界でもそれはもうそういうもんでしょう。
私だって綺麗なおねーさんに「うんうん」と悩みを聞いてもらってニッコリされたら、きっとスッキリするどころかちょっといい気分になっちゃうと思う(笑
これに加えてスピリチュアルなパフォーマンスや体操をして「どうです?スッキリしてエネルギーが満ちてる感じがするでしょう」と言われれば何となくそう感じてしまうのも無理はない話です。
こうして「スッキリ感」と不思議な感覚を味わってもらう事で自分のことを好きになってもらう。ファンになってもらうことができればしめたものです。
実際、会場に集まる方は妙齢で裕福そうな身なりのご婦人方ばかりでした。
でも実際に悩みを聞いてもらって、スピリチュアルなパフォーマンスや体操をして救われたと思ったなら、それは本人にとって良いことです。
外野から見て高いと思うセミナー料を払ってたとしても当事者が納得しているなら何も問題ないし、スピリチュアル・ダンディに問題があるとも全く思っていません。
本当に不思議な力をもっている人もそうでない人も、そのテクニックや考え方のメソッドをもって私利私欲でなしに人を救わんとしている人だってきっと沢山いると思います。
ただ、その一方で、世の中には儲けの手段としてスピリチュアルを騙っている人も多くいるということには気をつけないといけませんね。
とかくスピリチュアルや精神世界にハマってしまう人は、それを心の拠り所にしたい、安心したいという人が多いように思います。
実際、私自身、気持ちが弱った時にスピリチュアルな世界にハマりかけたこともありました。
でも、弱ってスピリチュアルや精神世界にすがりたい時って、安心感を得られる一方で不安も煽られやすいんですよね。
「〇〇しないと良くないことが起こる」
「いまの状況を抜け出すにはこのセミナーに参加するのが一番」とかね。
簡単にカモにされてしまうこともあるのです。
金儲けの為だけの手段にスピリチュアルを用いる輩は容赦なくお金を毟りとっていきます。
でも、だからといってスピリチュアルにハマって色んなセミナーやイベントに行きまくっている人に「危ないからやめなよ!」って忠告するべきかというとそれも悩ましいんですよね。
さっきも触れたようにセミナーに参加することで当の本人が幸せを感じているなら、その幸せは本人にとって大切なものです。それを頭ごなしに他人が否定していいのだろうかという葛藤があります。他人がそれを見極めるにはケースにも寄りますが慎重になった方がいい。
結局、スピリチュアルや精神世界とは付かず離れずくらいの距離感で楽しむくらいが丁度いいと思います。
私も、しんどい時にはスピリチュアル系で良く聞く「ありのままの自分を許す」的な考えに救われることもあります。お経を毎日唱えていた日もありました。
頼りたい時に頼って、立ち直ってきたら離れる。そんな付き合いがいいんだと思います。
今日たまたま見かけたセミナーと、主催者のスピリチュアル・ダンディが本当の能力者であろうと無かろうと、人を救おうとする「本物」であることを期待します。
…ただスピリチュアル・ダンディのサポートをしてる秘書っぽい女性の抑えきれない「愛人感」がこれまた印象的でした…気になる(笑